体験する 長門美祢

全長84キロを走破する『向津具ダブルマラソン』。長門の名所を周遊する旅に出かけよう

油谷(ゆや)向津具(むかつく)で3回目のダブルマラソンが開催

ダブルマラソンはその名の通り通常は42.195キロのマラソンの倍の84.39キロを走る過酷なマラソンレースです。

長門の向津具(むかつく)地域で行われるこのダブルマラソンは、その上高低差300mというランナーにとっては距離と傾斜に悩まされるコースになっています。

こちらが大会公式HP上にあるコースマップになります。

JAL向津具ダブルマラソン公式HPからお借りしました。

コースは長門の油谷湾や大浜海岸線に沿って油谷の半島部を周回するものになっています。

元乃隅稲成神社、千畳敷、立石観音、大浜海岸、俵島、東後畑棚田など、名だたる長門の観光名所を巡るものになっています。

今年も総勢1000人近いエントリーがあり、盛り上がった大会になりましたのでその模様をお伝えします。

この向津具は”むかつく”と読みますが、もともとこの長門油谷(ゆや)の北西部の半島部分に向津具村という村があったのです。

その地区の多くをカバーするコース設定になっているのでこの名前が大会名についているわけですが、やはり”むかつく”という特徴的でインパクトの強い名称にしたいという狙いもあるでしょう。

この大会はダブルマラソンだけではなく、通常のフルマラソン=シングルマラソンと棚田ウオークの3つのレースにエントリーできます。

ダブルマラソンはもちろんマラソンもきついなと思われる方(おそらくほとんどの方)は、棚田ウオークをお勧めします。

それでも30キロの行程がありますのでなかなか大変です。

そのコースですが、スタートは油谷総合運動公園から始まります。

公園内の勤労センターの中は着替えやマッサージなど、ランナーの方の準備場になっています。

見学の方や車でお越しの方は会場近辺の駐車場はすぐに埋まってしまうので、近くの公民館である「ラポール油谷」の駐車場に止められることをお勧めします。

そこから会場へシャトルバスが運行されていますので、問題なく会場に向かえます。

ダブルマラソンは朝6時がスタートなので、準備も含めるとランナーの方は3時起きとかになるのでしょうか。

さすがにダブルマラソンのスタート時には立ち会えませんでしたが、朝9時のフルマラソンのスタートには立ち会えました。

市長さんの挨拶が手短に終わると、いよいよスタートです。

大会スポンサーはJALとポカリスウェットでおなじみの大塚製薬でしたので、CAの方が手を振って見送っていました。

日ごろの成果を示すチャンスとばかりに、ランナーが我先に飛び出していきました。

続けて棚田ウオークがスタートします。こちらは穏やかに楽しそうに歩き出していきました。

市長も一緒に行軍していきましたね。

運動公園近くには楊貴妃の里があり、そこにあるホテル楊貴館がみえます。

総合運動公園には参加者のランナーが戻ってきたときに無料で長門名物の焼き鳥がふるまわれます。

長門は人口1万人当たりの焼き鳥の店舗数が全国トップクラスで焼き鳥の街ともいわれます。

その理由として全国的にも珍しい養鶏専門の協同組合「深川養鶏農業協同組合」の存在が挙げられます。

この養鶏組合は銘柄鶏である「長州どり」や山口県産の「長州黒かしわ」などの名産品を産出しています。

もともと長門は仙崎港など良質の港を抱えかまぼこ産業が盛んで、養鶏のえさとなる魚のアラなどが入手しやすい環境にあったことが影響しているともいわれています。

長門に来たら焼き鳥を食べていってくださいね。

千畳敷の高原まで駆け上がり

残念ながら各名所ポイントすべてでの取材は難しく、今回はハイライトとなる千畳敷でランナーの姿を撮ることにしました。

千畳敷は標高333mあり、普通のマラソンコースではなかなかない標高差なので大変です。

したがってそれなりに走りこんでいる実力者であってもこのレースにおいてはダブルなら6時間前後、フルマラソンの場合は3時間を切ることが一つの目標になります。

この日はよく晴れていて千畳敷からの日本海の眺めもとてもよかったです。

キャンプしている人も結構いましたね。

千畳敷には大きな風力発電の設備が何本もたっていて、その下をランナーが走り抜けていきます。

大きなエイドステーションが準備されていて、ここでバナナやスポーツドリンクなどをとります。

ボランティアの人たちは大会独自の黄色いシャツを着ています。

個人的に欲しかったのですが非売品です(笑)。

エイドステーションはここ以外にもいくつかあり、熱中症対策のために頭から水をかぶれるような準備もされていました。

この大会、老若男女問わず日ごろのトレーニングの成果をだそうと一生懸命走られているので、見ているほうも楽しくなります。

ダブル1位は前回2位の走者で、タイムは6時間26分31秒

ダブルマラソン・男子トップ3授賞式

さてゴールライン際で待っていると、フルマラソンのトップが帰ってきました。

最後はトップ3によるデットヒートで、とても見ごたえのあるレースになりました。

トップの選手は山口の方で、記録は2時間45分7秒でした。

フルマラソン・男子トップ3授賞式

ダブルマラソンのトップの選手の方は長身で、一見すると長距離ランナーとは思えないがっしりとしたフィジカルの持ち主の方でした。

2年前に3位、去年2位と順位を段々とあげて、今年は1位を狙って奪った選手で福岡の出身でした。

記録は6時間26分31秒です。

フルマラソン・女子トップ3授賞式

フルマラソン女性のトップ選手は福岡の方で、記録は3時間5分31秒でした。

1位の選手にはJALからツアーチケットが、2位には先ほど述べた長州黒かしわ、そして3位には長門のお菓子が送られました。

経験者によればシングルマラソンとダブルとでは根本的に競技の性質が違うそうです。

素人の観戦者からみればシングルはスピードレース、ダブルは耐久レースといった感じに思われます。

トップランナーを見ていると、走行後直後はともかくしばらくすると普通にスタスタ歩いているのを見てると、ほとほと化け物なんだなと感じざるを得ませんでした。

またそれぞれのカテゴリーのトップ3の選手たちのインタビューを聴いても、皆さん謙虚で走ることが純粋に好きなんだなということが感じられました。

ダブルマラソンの2位の選手の方はレース中に体調が悪くなり途中棄権も考えたそうですが、今まで棄権した経験がなかったために棄権の方法がわからずそのまま走り続けたというのが面白かったです。

女子のダブルの授賞式の写真はトップ3の到着時間の関係で掲載できませんでしたが、とはいえ女子トップ選手のタイムが7時間16分ですから、これは男子でいえば5位にはいるタイムです。

上位入賞者の中には山口県内の人だけではなく、福岡や広島から参加された方も多かったですね。

年齢別の授賞式で70歳代の部門の男性は去年もトップ入賞をはたしたのですが、やはり続けることが大事だといっていたのが印象的でした。

70歳代トップ入賞の男性ランナー

長門のラーメン屋さん「麺宗祐気」で遅めのランチ

さて、ランナーには及びもつきませんが、自分も取材である程度動いたので塩分が欲しくなり、長門で塩ラーメンを食べました。

食べに行ったのは「麺宗祐気(めんそうゆうき)」です。

ここは化学調味料を使わず、地元の名産「百姓の塩」など自然調味料を使ったラーメンで、確かに優しい塩味なのに風味があり、おいしく頂くことができました。

女性なら絶対に好きになる味ですね。

実際ラーメン屋さんのお客さんとしては女性の姿が目立ってたように思います。

チャーハンも頼みましたが、これまた優しい味でした。

今回マラソンの舞台となった長門の油谷の地域は高原や田園が広がっていて走っていて気持ちのいい場所です。

個人的にロードバイクが好きなこともあり、距離を考えると一般の人にとってはむしろランニングよりもサイクリングに向いている場所だと思います。

実際地元の観光協会は「ながとブルーオーシャンライド」や「ながとフォトサイクリング」などを企画して、サイクリングの街をアピールしています。

また千畳敷では7月20日にヴィレッジマルシェが開催され、ミュージシャンのUAさんや移動式の映画館、メリーゴーランド、手芸マルシェなど楽しそうな催しが開催されます。

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